今後のバターの品質や風味向上へ期待
雪印メグミルク 原子間力顕微鏡を用いてバターの組織構造を
維持したまま直接観察できることを世界で初めて確認
2024年9月6日「酪農科学シンポジウム2024」にて発表
雪印メグミルク株式会社(本社:東京都新宿区 代表取締役社長:佐藤 雅俊)は、原子間力顕微鏡(以下、AFM)を用い、バターの物性に関わる組織の微細構造を維持したまま直接観察できる世界初の観察方法について、2024年9月6日に日本酪農科学会が開催した「酪農科学シンポジウム2024」にて発表いたしました。この観察方法を見出したことにより、今後、バターの品質の安定化や風味や機能性のさらなる向上、製菓・製パン用途を始め、調理方法や用途に適した商品の開発に役立てることが期待されます。
バターは風味豊かな原料素材として、幅広く食品業界で使用されており、各用途に応じた製品の品質や物性が求められています。そのため、バターの品質を決定する要因の一つである組織(固体脂ネットワーク)を分析することが望まれてきました。
これまでの観察方法では、組織を破壊する溶媒抽出や、バターを液状にして脂肪を除去する処理が必要で、直接バターの組織を分析できないという課題がありました。
今回開発したAFMによる直接観察方法と、従来技術の観察方法(Cryo-TEM法、X線回折法)を比較した結果、バターを構成する油脂結晶の形状がほぼ同等であることが確認され、バター中の乳脂肪の微細結晶が凝集した構造を維持したまま、直接観察が可能であることが示されました。
今後、開発した観察方法を活用し、組織の状態を確認することにより、バターの口どけや、硬さ、軟らかさなどを制御する技術を見出し、用途や調理方法に合わせた商品の開発が期待されます。
当社は、コーポレートスローガン「未来は、ミルクの中にある。」のもと、ミルクの新たな価値を創造し、お客様においしい商品を提供するため、日々研究開発に取り組んでいます。これまで培ってきた知見や技術と新規手法を融合し、お客様へおいしく利便性の高いバターを提供し、乳(ミルク)の価値をさらに高め、酪農生産への貢献を目指してまいります。
■発表概要
発表題名:原子間力顕微鏡によるバターの微細結晶凝集体の評価
〇松井幸太郎、神垣隆道、泉井亮太、吉岡孝一郎、塩田誠
雪印メグミルク株式会社ミルクサイエンス研究所
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雪印メグミルク株式会社 広報IR部 広報グループ