森永乳業は、50年以上にわたり、様々な健康効果をもたらすとされるビフィズス菌や、そのすみかである腸内フローラの研究に取り組んでいます。このたび、国際酪農連盟(以下、IDF:International Dairy Federation)主催の「IDF World Dairy Summit 2025(チリ・サンティアゴ)」において、「容器ヘッドスペースの酸素濃度がビフィズス菌入りヨーグルトに与える影響」に関するポスター発表が「乳製品加工技術」部門のベストポスター賞を受賞しました。

1. IDF World Dairy Summit 2025概要
IDFは、ベルギー・ブリュッセルに本部を置く、酪農・乳業に関する科学、技術及び経済問題の協議、解決を目的とした国際団体です。世界の酪農乳業界の関係者が集まり、酪農・乳業の課題について議論し、知識とイノベーション、トレンドを共有する大会であり、南米で初開催となった今回のチリ大会(2025年10月20日~23日)は、48 ヵ国 1,090 名以上の代表が参加し、世界の酪農市場の 6 割を占める国々が集結しました。
2.賞の概要
「乳製品加工技術」部門は、乳製品の加工、包装、保存、流通に関する科学的・技術的課題や、革新的なプロセス開発など、乳業分野における幅広い研究テーマを対象としています。ポスターは、IDFの関心分野との関連性、結果の独創性に基づいて評価され、部門ごとに最優秀ポスターが表彰されます。
3.受賞内容
▽研究題目
「Effect of oxygen concentration in the headspace of containers on yogurt containing bifidobacteria」
(容器ヘッドスペースの酸素濃度がビフィズス菌入りヨーグルトに与える影響)
発表者:田中愛美、桒野靖之、笠原日菜子、丸山広志
受賞者:田中愛美
▽発表内容
当社が長年研究を続けてきたビフィズス菌BB536は腸内環境の改善や便通の促進、アレルギー症状の緩和など健康に有益な働きを持つことが知られています。しかし、酸や酸素に対する感受性が高いため、ヨーグルト製品への活用には様々な課題があり、技術開発を進めてきました。
本研究では、容器ヘッドスペースの酸素濃度を低減することで、ヨーグルト中のビフィズス菌BB536の菌数が従来比で大幅に向上し(図1)、ヨーグルトの風味や食感、新鮮さにおいても官能評価で有意に改善されることを明らかにしました(図2)。本成果は、将来的にビフィズス菌入りヨーグルト製品の賞味期限延長を実現し、食品ロス削減という社会課題の解決に向けた当社の取組みを支える重要な成果となります。さらにビフィズス菌の生残性を向上させる当技術は、新たなビフィズス菌入りヨーグルト製品の開発に繋がることが期待できます。
本研究成果を活かし、高品質なヨーグルトの商品開発を推進し、人々の健康とサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。

図1:容器ヘッドスペースの酸素濃度低減によるビフィズス菌数の経時変化

*Bifidobacteria aroma: ビフィズス菌のみで調製したヨーグルトに特徴的な香気である酢酸臭、カラメル臭(甘さ)、酵母臭、穀物臭の特徴を指し、スコアの低下は、
一般のお客様に親しみやすい風味に近づいたことを示します。
